神奈川県気功太極拳倶楽部(神奈川県太極拳連合会)

中国武術研究院 横浜武術院 神奈川県気功太極拳倶楽部は、アフターコロナ時代に応対した活動を行っています。 「上海復旦大学武術協会 日本本部」として普及活動を展開しています。本格的な中国武術大会の「武術ジャパンカップ大会 伝統中国武術大会」を運営していました。お問い合わせは「横浜武術院HP 」www.yokohamabujutuin.sakura.ne.jp によろしくお願い致します。

3700年の歴史ある名城、安徽省亳州市に伝わる「伝統 華佗五禽戯」

sites.google.com

 

ameblo.jp

 

中国思想哲学の老子荘子曹操の出身地とされる 中国安徽省”養生薬都”とも 呼ばれる「亳州市」において、五禽戯は中国の2世紀 後漢末の「神医」とよばれた 華侘 によって創作されました。 

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org



古代から中国の民間に伝わっていた導引という健康体操から五種類の禽獣・動物の所作からヒントを得て、華侘始祖は

中医学の哲理をふまえた陰陽五行思想(木・火・土・金・水)を盛り込み、

身体の「腎・肝・脾・心・肺」の五臓六腑を意識的に活性化できるように創られた優れた体育運動で1800年の歴史があります。

 

ja.wikipedia.org


~華侘五禽戯 かだ ごきんぎ とは~

www.youtube.com


五禽戯の歴史~


五禽戯 ごきんぎ は1800年間の長い歴史を持つ、中国発祥の体力増強法で虎・鹿・熊・猿・鳥の動作から編み出された動気功です
史実に出てくるのは由緒ある歴史書正史三国志」 作者は「陳寿 233~297」

の中の魏書に記されている「方技伝 第二十九 華侘伝」です。

華侘(かだ)、字は元化、沛国 譙県(現在の安徽省亳州市)の人である~中略~

養性の術に通暁しており、当時の人々は彼の年がもう百歳にもなるはずだとしたが、見たところは若々しかった~略~


華侘は語った。

「人の身体というものは働かせることが必要だ。ただ極度に疲労をさせてはならない」

「身体を動かせば穀物の気が消化され、血脈はスムーズに流れて、病気も生じようがない」

「ちょうど 戸の枢:くるる が(いつも回転しているので)朽ちることがないようなものだ」

(※ これは良く開く扉の軸である枢は虫が食わない、流れる水は腐らない とあり、ドアの軸は回転する場所で

それを身体全身の背骨や関節に例え、水は血流やリンパの流れに例えています)

さればこそ古の仙人たちは導引と呼ばれることを行い、熊のように木にぶらさがり、鴟(トビ)のように首をめぐらせ、

腰や身体を伸ばし、それぞれの関節を動かして、身体の老化を防ごうとしたのだ。


私にも一つ長生法があり、それを五禽之戯(五つの動物の運動)と名づけている。

第一が虎、第二が鹿、第三が熊、第四が猿、第五が鳥である (それぞれが動物のかっこうをして躍ねまわるのだ)


この運動によって病気が予防できるだけでなく、足腰も鍛えることができて、導引の用に当てることができる。

身体に調子の悪い所がある時には、起き上がってどれでもよい、一つの動物の戯を行えば、びっしょりと汗をかき 

身体は軽々とし、腹も減って食欲がわく。

学んだ呉晋はこの術を実行し、

年は九十あまりにもなったが、目や耳はすこしも遠くはなく、歯は一本も抜けることがなかった。とあります。

(参考文献 「正史 三国志4」 筑摩書房発刊より~)


中国安徽省亳州市に伝わる 伝統気功 華侘五禽戯の練習方法には 原地 活歩 十三式(重要な基本の套路:型)があり、 虎戯 十四式 鹿戯 十式 熊戯 十式 猿戯 十一式 鳥戯 十四式 とあり、全て繋げて行う套路を 五十四式といいます。この動作套路は、明代にはほぼ完成し、現在の継承者は華侘始祖から数えて第58代周金鐘老師が受け継いでいます。


華侘五禽戯は 虎 鹿 熊 猿 鳥の五つの部分に分けられ 技ごとに、弱りやすい肉体的な部分 それぞれの応じて機能を高め 感覚を健やかにする作用を備えています。

 

ameblo.jp



虎戯:骨を練る。
虎の技を練る時は「猛々しさ」と「虎視眈々」とした眼力をも重視します。
五行では水に属し 腎臓の働きに関係して作用します。
「骨」につながる組織を鍛錬することで骨髄の流れを活性化できます。
関連する 季節は冬 
下半身の臓器や排泄器官や生殖器官は冷えに弱く 方法として これらに関係する臓器の活性化を施していくのが目的です。

ameblo.jp



鹿戯:筋を練る。
鹿の技は「筋」に意識をおいた鍛錬を大事にします。
五行では 木に属し 肝臓に関係します。
関連する季節は春

鹿は敏捷性がよくすばしこい動きのできる筋肉をもつ生き物であり、鹿の動きを模倣した動作は尾閭がよく作用します。

ameblo.jp

 

 

熊戯:肌肉を練る。
熊の技は肌肉を強め 脾胃を丈夫にします。
五行では 土に属し 脾臓に関係します。
関連する季節は土用(季節ごとの分かれ目)

穏やかでも力強い能力を持つ熊の動きの真似をする技を鍛錬すると、
疲れやすい体が落ち着いて正常に戻り 内在する気力が増大させられます。

ameblo.jp



        
猿戯:脳筋を練る。
猿の技は 猿の特徴である機智的に素早く動ける反射を司る 脳筋の反応力を鍛えます。
五行では 火に属し 関連する臓器は心臓であり、脳(心)と連動します。
関連する季節は夏

練功によって習練された脳(心)は不愉快な心地を鎮め 楽しくなる情緒を高められます。

ameblo.jp

 


鳥戯:皮毛を練る。
鳥の技は皮毛(毛穴・皮膚呼吸)を鍛えます。
五行説の金に属し 関係する臓器は肺です。

関連する季節は秋
鳥の中で一番長寿なのは鶴であります。翼を広げ 空中を旋回する様子を 動きに多く取り入れたのが鳥戯です。
鳥戯を修練すれば、肺の機能が改善され 全身においてでは、発汗能力を高め 熱を下げることができます。


また胸(胸郭)を広げ 呼気と吸気の流れを整えることが出来るのです。
鶴は 鍛錬されたような皮膚の如く羽毛を持ち、手足は軽くすばしこく 高く飛び上がる能力に優れています。

鳴き競うことを好み 高いところにおいてでも平衡感覚に秀でていて、
心地よい「和み」の身体感覚を 本能的に理解できている動物です。

 

ameblo.jp

 

こうして歴史的に見ると、

古来 紀元前 前漢の時代に存在していた 所謂「気功運動」は 馬王堆導引図に描かれた 導引術 が全ての源流・ルーツです。

かつては「吐納」「導引」と呼ばれ、それから後漢末の2世紀頃に導引を基にして 華侘 が五禽戯を創始しました。

ですから 五禽戯は、その後に多く生まれた中国健身術の「套路運動」「象形套路」の元祖になりました。


「気功」は「静気功」と「動気功」とに分類されるようになり、「静気功」は医療面に発展し、「動気功」は武術運動になっていきました。

その他、有名な気功でも、嵩山少林寺に伝わって 少林武術の基になった 易筋経は8世紀 八段錦は10世紀頃の成立で、

 

日本でも有名な 太極拳は一番古いものでも16世紀頃であり、五禽戯成立の立場からみると太極拳も動気功の1種と考えています