中国武術 教学法について
今回は、太極拳、中国武術 カンフーを練習する際での意識感覚や心構えをお伝えします。
誰であっても初めての時は、”初心者”であり、それは私であっても、そうでした。
長く修練を続けて来て、日本での普及指導にも多く携わり、その経験的な感覚から練習する際での意識感覚や心構えの在り方を日本人としての”意識感覚”から、理解して来たことが多くありました。
練習に参加して来た初めての方は、誰も知らないところでは、特に、どういうところに意識を置いたらいいか、あるいは注意したらいいかが、わからないものですので、
現代日本の社会環境での”日本の生活”によくある習慣から起こりやすい感覚が多々あり、こういった機会を活かして、
私共は、「焦らない」「慌てない」「煽らない」という3つを常日頃から提唱して練習活動を行っています。
その理由については、練習に必要な「集中力」「分析力」「体得力」があって、「実感」「判明」「確信」「理解」の4段階で武術修養が進んでいきます。
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練習段階の順番
基本動作練習:基本型:手型 歩型 手法 歩法 腰法 腿法 眼法をしっかりと学び練習する。
↓
組み合わせ動作練習A:2動作~3動作ほどの簡単な組み合わせ動作練習
↓
組み合わせ動作練習B:5動作~6動作ほどの(手型+歩型 手法+歩法)+腿法などの組み合わせ動作練習
↓
分段練習A:上記のA+Bのように組み合わせ動作練習を繋げて長めの套路練習を行う。
↓
分段練習B:分段練習を繋げて一段+二段 二段+三段 三段+四段というように分段でも長めの套路練習を行う。
↓
整套または成套練習:全ての動作を繋げて動作練習を完成させる。
心構えや、感覚の在り方について
1、意識感覚を落ち着かせて「正確」に行う。
初めて太極拳や武術の動作を学ぶ時の意識では、多くの方々と一緒だと「早く理解できた者は勝ち組」「理解できなければ負け組」みたいになり、
とにかく急いででも「できるようになろう」の気持ちが起こり、何かと意識は焦り、感覚的に、いろいろと急ぎ速度が早くなりがちなので、意識は落ち着いて ゆっくりめに持つことがいいでしょう。
一人で行う「単練」から、二人で行う動作用法の実践の「対練」や「析招:チャイジャオ」に進むと、相手があることで慌てやすくなりますが、そこが大事なところで、普通は「慌てる」ようなところを、「冷静に判断して実行できる」そうした修練でもあります。
そういったこともあって、「拳」「掌」「鈎手」の3大手型の基礎・基本感覚を重視したうえで、意識は穏やかにゆっくりにしながらでも確実に動作感覚を覚え、掴んでいくようにします。
意識が穏やかに「ゆっくり」行なえる事で一つ一つの動作の細かいところにも意識が届き、「手法」「手型」「歩法」「歩型」での武術動作の流れを一体化してまとめて理解することができます。
熟練してきたら、「集中力」も自然に高まり、繰り返すことで「分析力」そして「体得力」が向上していきます。
速度も「ゆっくり:慢」から、「素早い:快」でもまとめられるようになり、動作の速度リズムも臨機応変ができるようになり、
上達における、充足感や達成感が得られるようになります。
2、歩型の高さも自由自在に。
太極拳や武術動作での歩型や姿勢などを練習する時には、対練では少し高めになったり、単練では低めにしたりする自由自在感覚を高めることができます。
しかしながら、初めてで慣れていない場合には、行い易い中腰の位置が決まってきましたら、しばらくはできるだけその位置で、続けて行うのがいいでしょう。
足腰での「筋持久力」を身に着けるうえで、これは大腿部、膝、足首への負担を
一定に保つじことで過度な、負荷がかかり過ぎないように筋力アップを行っていくためです。
はじめての方で脚力にあまり自信がもてないような時には高い姿勢で行うことがよく、
慣れてきて、脚力を付けるようにする時は単練の動作練習では低くするようにすると
筋力アップの実感が得られ、反射的に体が自在に動かせるようになります。
3、運動量は適度に調整する。
太極拳や武術動作での運動量は人それぞれのペースで、その量を増減するようにします。
特に、武術基本功での組み合わせた動作を練習したり、套路練習で全部を通しで行ったり、「対練」や「析招:チャイジャオ」での、個々の武術的な応用動作を、
研究して常日頃から行える、というようにすると、人それぞれに持つ「ひらめき」が得られ、そういう感覚を大事にします。
気持ちに余裕やゆとりが無ければ、様々な発見は出にくく理解も難しいものだからです。
4、順序にそって、次第に向上させる。
初めのうちは、あわてずに、確実にできるところから、把握していくことがいいでしょう。
簡単な動作を身に付けたら、次第に難しい動作へチャレンジするのがいいでしょう。
先ずは、身体を自在に動かせるような感覚を楽しみ、浅いところから深いところへ
「自ら」を向上させることが大事で、これは運動をすること、と脳細胞の活性化にも役立ちます。
正しくしっかりと行えるようになれば、近頃話題の「メタボリックシンドローム」予防にも大いに役立つことでしょう。
(元々、中国では脂肪分の多い料理が多いので、太極拳や武術動作で体内の血行促進と
体温上昇が内臓における脂肪を体内で燃焼し、お茶で胃の中を清浄する、ということを
古くからの智慧で行って来たのです)
5、自分自身で正しくしっかり練習しながら、同じ感覚での”気の合う”仲間を増やす。
太極拳や武術の動作練習は先ずは単練の一人でしっかり行うことが良く、更に発展を目指し、武術修養として、ずっと心身が健全で楽しく長く続けられる為には、
自分で正しくしっかり練習しながら、同じ感覚での”気の合う”仲間を増やすようになっていくことが望ましいでしょう。
これは、長く行っていくと、他の文化芸術にも共通して いずれは指導者になったり、
組織運営責任者になったりすることが、多々出て来ます。
そして、こうした中国武術精神で「武林是一家:武術界に在るものは、皆大事でひとつ屋根の下にある」というもので、皆で力を合わせて、大きなムーブメントを起こすことも可能で、限りない発展や繁栄に結び付きます。
太極拳や武術の動作技芸を練習するときには一人で行う「単練」から、二人で行う動作用法の実践の「対練」や「析招:チャイジャオ」でも、周囲や練習相手の仲間達にも余計に気を使ったり、緊張しないようにします。
不自然に力を使うようになってしまうと、かえって身体を損ねたりする原因になったり、効率が悪くなり、練習における上達が己自身で滞りしたりする原因にもなりますので注意が必要になります。
こうして、練習に必要な「集中力」「分析力」「体得力」が向上し、「実感」「判明」「確信」「理解」の4段階の武術修養が得られます。
世界中にはそれぞれ専門的に優れた運動がたくさんありますが、太極拳、中国武術 カンフーの運動は、長い歴史の中で、工夫を高め、時代によって育まれ鍛えられて来た実績があり、どなたでも、無理や不自然なことがなく、年々において過ぎゆく時間の中で、望ましいとされている「より健康で、より健全なからだづくり」が大いに可能です。
それらを活かして、これからの21世紀の日本社会を寄り元気に、活力をもって日々をより豊かにしていきたいものです。