初めに、今現在に私達の活動においてでは、武術班/武術隊 そして太極養生班を創設してあります。
その普及活動を展開している中で行っている項目の紹介として、今回は中国武術の解説 カンフー:功夫とは、を解説致します。
日本では1974年の映画がきっかけで「カンフー」と呼ばれて広まった中国武術ですが、一般的には「中国武術 WUSHU ウーシュウ」といいます。
そして、アメリカでは「WUSHU・KUNG−FU」として普及展開していて大きなムーブメントになっています。
これまでに「WUSHU」は中華人民共和国である中国大陸で行われたもの、「KUNG−FU」はそれ以前の明、清王朝から、中華民国までに残された古き伝統的な技術のことを指していました。
ヨーロッパでは、MARTIAL・ARTS(格闘芸術)として空手、キックボクシング、テコンドー、武術を全部まとめています。
日本で「カンフー」・「クンフー」と呼ばれるようになるのは、映画での紹介のされ方によってこのように呼ばれるようになりました。
それ以前は香港カラテとか、中国拳法と呼んでいました。
”功夫”と書き、北京語では ゴンフー 広東語では コンフー と発音し、時間をかけて身に付けた「高度な技術」という意味です。
「時間」「能力」「腕前」を総称し、あるとあらゆるものへ工夫と智慧を凝らしたものに対する総合的能力をいいます。
このように、中国武術界では技を磨き、身体を鍛え、積み重ねた時間が、その人の精神力を高めます。
「身体・からだ」と「精神・こころ」を強くする為の、積極的な活力を高める運動なのです。
分類としては
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・外家拳
積極的に体を動かし、主に筋骨を鍛える拳術
少林拳 弾腿(譚腿) 秘宗拳 華拳 査拳 梅花拳 綿拳 地功拳 翻子拳 通背拳
象形拳「形態・動物」の動きを取り入れた拳術
・内家拳
しなやかな身のこなしが特徴で、複雑な動作をこなす事により、理知的な物事の考え方を学び、内臓のはたらきを高める拳術
長拳・南拳は、共通の動きを持つ拳術を総称としてい呼んでいます。
長拳:総称として(少林拳・華拳・花拳)などの基礎の上にまとめられた項目、
「のびやかで、大きく」という動きが日本語でいえば「長けている」ように体を扱う拳術を「長拳」といいました。
南拳 :中国南方、長江より南で行われるの拳術 洪家拳・蔡李仏家拳・五祖拳・詠春拳などの総称です。
武器術のことは、古くは「兵器」といいましたが、現在は「器械」というようになりました。
器械
短器械 :刀術 剣術
長器械 :棍術 槍術
軟器械(軟らかい性質を持った武器) :九節鞭 三節棍 流星錘 縄標 双節棍(ヌンチャク) 長梢子 短梢子
双器械(両手で扱う技術) :双刀 双剣 双鉤 双匕首 双錘 単刀拐(刀と所謂トンファー)
そして「気功」にも用途によっても分かれます。
軟気功(保健気功 健身気功)
自分で血行促進を図る、健康法、体操です。
馬王堆導引術 五禽戯 八段錦(筋持久力を高めながらの、しなやかなストレッチ運動)
易筋経(ヨガの中国的発展訓練) 洗髄経
硬気功
自分の身体を硬くなるまで鍛えるトレーニング
排打功(自分を叩いて鍛える)
木人功(木の人形相手のトレーニング)
鉄牛耕地功(腕立て伏せ)
鉄頭功(頭で逆立ち、あるいは頭を叩いてもらう)
中国は歴史も長く、人も多く様々な知恵が武術運動を生み出しました。
格闘技術、運動、健康法と「国」や「時代のニーズ」により広まり方は異なります。
人、それぞれにあった中国武術の項目を選び、自らのライフワークに活かしてそれぞれに楽しく行われるのが理想の姿だと思います。
そして「気功」について、ですが、
そもそも、特徴として中国大陸で発達した文化は多方面において、多種多様に発展していきます。
「気功」という名も、人間の「気:生体エネルギー」の「功:トレーニング」という意味で用いており、
これは、健康体操、メンタル・トレーニング、医療方面に到るまで、かなり広い範囲にまで及びます。
中でも、硬気功のように、肉体の強度を高め、それを人々に見せることを職業にする、大道芸化したものまであります。
「気功」という「言葉」は1970年頃から頻繁に使われ、日本でも、その頃から関心がもたれ始めます。
中には、傾向として「神秘主義的」なものとして扱われ、本来の形とは違う姿になってしまったものがかなり多く見られます。
これは、中国では信仰や宗教が禁じられた時期があったために、それにとって変わる存在になってしまったようです。
一時期の日本でもそうですが、時代や社会が「不安定化」すると、何か「とてつもない力」に憧れるようになり、それを求めようとする動き(あるいは、その力を持っていると言い出す人)が出てきます。
言動と実際に行われる行動は一致しなければなりません。
正式な呼称としては古来は「導引」あるいは「行気」「坐忘」と呼んでいました。
中華人民共和国は「文化大革命」の影響もあり、一時はその活動や行為そのものを、国が禁止した時代がありました。
ですから、当時の優れていた達人:マスターは台湾や香港、東南アジア方面に脱出し、アメリカやイギリスなどの海外でその活動をするようになります。
近年の中華人民共和国では「健身気功」という名前に変え、国家体育健身気功管理中心を設立し、「易筋経」「八段錦」「六字訣」「五禽戯」を創編しました。
気功運動として、元々のルーツですが、「易筋経」は「少林寺」に「禅」を伝えたインド僧「達磨大師」が「座禅:坐忘」を伝え、更に疲れた肉体をほぐす技術である「行気:伸展運動」としての「ヨガ」を教えたそうです。
「八段錦」は、元々は「易筋経十二段錦」と呼ばれるようになった運動プログラムを短くしたもので、拳での突き技:パンチの練習を取り入れ「武八段錦」と呼びました。
それが、後に農機具から発達した武具を用いた「少林武術」になったといいます。
五禽戯は「華陀 104〜208年」が創始し、虎・鹿・熊・猿・鳥の動きを取り入れた運動で、後に様々な中国武術の象形拳のルーツになった導引術に初めて武術的意識動作を取り込んだ動気功です。
中国の伝統運動文化は、歴史的な流れでは、紀元前2世紀の前漢時代にはすでに行われていたという、中国湖南省出土の「馬王堆導引図」が全ての気功のルーツになっています。
「導引」とは、「導気令和、引体令柔」の頭文字をとったところから来ており、
訳せば、
人体は「気:意識」を「導く方法」を行うことで、「和む」ようになり、身体を引き伸ばすことで、身体は「柔らかくすること」が出来るようになる、というものです。
現在、日本でもアメリカンスタイルの「ヨガ」ブームが起きていますが、実は「ヨガ」という名前は、「つなぐこと」という意味の言葉からきています。
身体の不調は、体内循環の巡りが悪くなることが「病気」の根本として考え、様々なポーズをとり、維持することで関節と筋肉を「つなぎ直し」
意識した「呼吸」をすることにより、血液中の酸素を増やすことで大脳のはたらきを向上させるのです。
その体内循環の流れの中に含まれる「エネルギー」をヨガでは「プラーナ」と呼び、導引では「気」といったのです。
「現代医科学」では、血液中に含まれる「赤血球」の中の「ヘモグロビン」が「酸素」を受け取り、
運動による体内刺激を受けることでリンパの流れが活性化される、というのです。
結果としては、同じことを言っているのです。
時に、言葉は違う単語により語弊が生まれますが、人間に備わった機能は誰しも同じであり、人間の体は、本人の意志ですべてが作られていくものであります。
ですから、食事などもそうですが、本当に「身体にい「良いもの」は、名前が有名だからとか、誰かがやっているから、選択するのではなく、自分の意志で「良いもの」を見つけ出す「選択能力」を高め、日々努力することが最も重要なことです。
中国武術の特徴は「套路」のように定まった運動法則を最大活用し
発展させてきたところも大きいです。
それは何の拳術でも器械でも套路運動の中で攻防技術を行っていく上で正しく
伝統体育的な要素もある中国武術の「運動法則」に則って、
修練:練習・練功を積むと「功夫:時間 能力 腕前」において各々に、
それぞれに相応しく姿勢が正しく的確で、方法は明晰であり、
身体の扱い方も変化に富み、手と眼は連動していて、精神力は一貫しており、
勁力は正しく届き、呼吸法もうまく活かせてあり、リズムも滑らかでスムーズである、
など。
これらが相互に連係し合って、相互作用が整って一体化(整体)していることが高手になり、洗練されていきます。
これをまとめていくと、身型:姿勢 協調、勁力:技術方法・身体方法
精神:眼法・呼吸意識・力のリズム感覚があり、
これらの8つの方法が極めて合理的で自身にまとめられるようになれることこそ
「套路」運動の持つ役割であり、整合性が体得出来ます。
「姿勢」には空中姿勢や静止した時、暫定的に静かに動いている時のそれぞれに
相応しい、つまりは武術的に正しい身体状態のことをいいます。
「技術方法」には動作技術において、拳掌などで衝く、脚で蹴る、
投げる・受け身をとる、掴む。
器械では振り回す、叩きつける、刺す、斬る などの技撃方法があります。
ここでは攻防技法を行う時スピーディーかつ正確であり、意識が技と完全に結びついている状態が望ましいです。
「身体方法」は身法のことであり、伸、縮、呑、吐、閃、展、冲、撞などの
中国武術特有のありとあらゆる全身の部分を使う身体操作方法のことでもあります。
これには上半身・下半身は緊密に結合していて、足を進めれば身体をそれに随い、
身体が動き出せば、足の歩もすぐさまに到達する。
腰法は身体の要でもある腰も技法に合わせて前屈やそらせたり、
斜めに傾いたりを支えながら攻防に使います。
「眼法」は脳に近く、顔にある感覚器官の中で最も鋭敏な知覚を持っており、
これを完全に制御できる方法が眼法です。
これには「手と眼が相し随い」を表すことであり「手眼相随」「手到眼到」
という概念があり「眼」は精神、意識の表れるところだといいます。
「精神」は攻防・格闘の術に意識が集中しきっていることです。
勇敢であり、機敏、沈着冷静、怖れはすべて無い、という心持ちの状態です。
「形」は何のために作られるか、というのはこの心持ちが「武術」になったということです。
そのことで「形神兼備:形と精神力を兼ね備られている」と表されています。
「勁力」は武術運動の中で重要視されるところで、それは「力」「意」「気」
が結合してきた一種の「活力:活き活きと動き出す力」のことを指します。
武術用語でいう「勁」とはこのことをいいます。
勁力は各々の技法によって剛柔があり、すべては内側から起こり外へと
順達されていきます。そのことから「内外合一」が必要になります。
「呼吸」は外に出す「呼気:息を吐く」であり、内に取り入れることが
「吸気:息を吸う」これが呼吸のことです。
武術においては独特の規律があり、門派や動作によって特徴があります。
それには深いもの、浅いもの、長いもの、短いもの。
あるいは吸気・呼気において途中で暫定的に停止するものがあり、
動作性質やリズムによって使い分けられています。
これには所謂「拳勢呼吸」といっており、その性質には
「提気」「托気」「聚気」「沈気」があります。
「リズム」は武術動作では大きな特徴があります。
これらには相互矛盾しているようで相互連係していくことで生み出され
動きによっては勇猛の攻勢をしかける時や、奇をてらい、
あるいは身を潜めて留まったり、静かに動き様子を探る・・など。
様々な状況変化に適応できる能力のことでもあります。
「動と静」「虚と実」「剛と柔」「疾と緩」があり、戦闘技法や美学など、そういった動物的闘争本能を人間が表すものといえます。
こういった武術知性、武術技芸を備えていくうちに、自身には
「文武精神(文武両道)」の意識が芽生えます。
従って、「攻防動作」「文化基礎」「体育運動」の基盤の上に、「健身 修身 防身」が見に着き、”不老長生の術”行える者として
”中国武術人士”へと自ずから昇華されていくようになります。
日々の、武術修養は常々に健全な心身を構築できる、素晴らしい歴史文化です、皆様も共に頑張って精進していきましょう。